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本書の構成──「商品づくり」の4要素 (本書「はじめに」より抜粋)

 

本書では、市場をつくる骨太な商品の の技法を、4つのパートに分けて説明します。

「淡麗」や「氷結」などの成功事例だけを紹介するだけでなく、売れなかった商品のどこがダメだったのか、どう考えればよかったのかの失敗事例の分析までも徹底的に解説しました。さらに、発売に至らなかったボツ企画の直筆メモまで掲載しています。

第1章 未来の市場のド真ん中を射貫け  

手掛けたすべてのヒット商品に通底する「競合は見ず、未来を見る」という考え方。
それを構想する6つの技法。

競合ではなく、未来を見る考え方について、「淡麗」「氷結」「キリンフリー」の実例と共に解説します。
これまで連発してきたヒット商品には、すべてこの考え方が通底しています。
より良い商品をつくるなら、いきなり商品のことを考えてはいけません。まずは、未来を構 想する必要があるのです。「氷結」の初期構想のスケッチを参考に、自分がつくる商品の未来を考えてみましょう。

1 商品づくりは、市場づくりだ

  • いきなり商品をつくるのはやめよう
  • 商品と未来をつなぐ「市場」
  • 市場をつくり変え、未来をつくる
  • 看板商品を超え「未来の当たり前」をつくる

2 未来を構想する ──「淡麗」「キリンフリー」のケース

  • 市場をつくるため「キリンフリー」の構想
  • 構造変化を見据えよ───「淡麗」のシナリオ

3 ロングセラーをつくる2つのアプローチ

  • 目指すは、追随・対抗される商品 
  • 競合商品は見ない
  • アプローチ①垂直思考でヒントを見つける 
  • アプローチ②妄想見取り図───「氷結」の初期構想

4 マイミッションを起点に  

  • 自分の「ミッション」と「ビジョン」を明らかにしよう
  • 私が「任され仕事」で失敗した理由
  • 組織のミッションと自分のミッションの重なりを見つけよう
  • 理想は「5方良し」の実現

5 何度も問い直す商品づくり「3つの質問」

  • 「人々を本当に幸せにするか、世の中をよくするか?」
           人々を幸せにするために必要なものか
           あらゆる情報網から世の中を知り、ヒントを見つけよう
  • 「真のオリジナリティがあるか?」
           異次元・別次元「何か」であるか
           世界初のパッケージデザイン「氷結」
  • 「100点満点以上か?」
           お客様の期待値を超え、感動水準を

6 5W1Hではなく「1W +4W1H」で考える

  • とにかく「Why?」からスタート
  • 「Why?」を繰り返し、目的を明確化

 


第2章 「偶然のひらめき」を呼び込む習慣

商品の着想やそれを実現させる方法に 直結する、アイディア発想法。
人一倍アイディアが湧き出る7つの技法。

今までにない、真にオリジナルなアイディアの発想法を紹介します。変化に惑わされず、市場をつくるロングセラーには欠かせない不変の法則をつかむ方法もわかります。
商品の着想を得るにも、それを実現させる方法を考えるにも、具体的なアイディアが必要です。「なかなか、良いこと思いつかないなぁ」という方も多いのではないでしょうか。私も、アイディアがどんどん出てくる天才型ではありません。だからこそ、人一倍アイディアを生み出し、記録する方法を考えてきました。

7  アイディアは「セレンディピティ」で爆発する

  • 発想力を格段に上げる秘訣
  • 「セレンディピティ」を自ら呼び込むには 

8 インプット、インプット、とにかくインプット

  • アウトプット量はインプット量に比例する
  • 「越境」のススメ
           「居場所を変える」 
           「つきあう人を変える」
           「読む本を変える」
  • 「マルチタグ付け」で脳内情報整

9 ひらめきを呼ぶ5つの「ユリイカ!」モーメント

  • イノベーションとは、知っているもの同士の組み合わせ
  • ひらめきの瞬間が「ユリイカ!」モーメント
  • ひらめきが訪れる5つのパターン
                  小さなひらめき 「プチ・ユリイカ!」
                  ストーリーがまとまっていく「流れるユリイカ!」
                  アイディアを発展させる「紙上のユリイカ!」
                  一日の終りに「整理・まとめのユリイカ!」
                  アイディアの小宇宙「ビッグバン・ユリイカ!」

10 大きな変化と先行市場を探す

  • 探すのは、長期の大きな変化
                  ①サイクル
                  ②トレンド
                  ③メガトレンド
  • これだけはおさえておきたい「超」メガトレンド3選
                  超メガトレンド その1「健康志向」
                  超メガトレンド その2「エシカル消費」
                  超メガトレンド その3「人口動態」による変化
  • 「淡麗」のチャンスを見出した「先行市場」
  • 「先行市場」は根っこがおなじものを探す

11 骨太な商品には「愛」がある

  • 変わらないことを骨太な土台に  
  • 永続性の指針。「真・善・美」
  • 「キリンフリー」に込めた愛

12 「X人格」になりきる

  • お客様のリアリティに迫る
  • とある男子高校生になりきる方法
  • 動ける人物像に仕上げよう
  • 自由自在に「X人格」になれるトレーニング

13 想像力が飛躍するエクストリーム発想術 

  • 極端を考えるトレーニング 
  • What if(ホワット・イフ)法
  • 「超・越」・「極・端」・「逆・転」発想法


第3章 企画書で商品は磨かれる

企画書は商品を提案するのではなく、 磨き上げるためのもの。
書くほどに、より良い商品になる5つの技法。

「企画書は、魅力的な提案をするために使うもの」と思っていませんか?
私の場合は違います。商品を「磨き上げる」ために使うのです。思いついたままのアイディアは、まだまだ弱く頼りないもの。骨太な商品にするために、あらゆる角度から検証します。
「こんなコンセプトや企画書、人に見せられない……」と悩んでいるなら、この方法で企画書を書いてみ ましょう。「スプリングバレーブルワリー」構想時の企画書や、いつも使っているお気に入 りの道具たちも大公開します。
誰でも、唯一無二の強い商品に仕上げられるようになります。

14 まずは、自分に向けた企画書を

  • 企画書は4段階
  • バージョン違いもすべて保存。敗者復活で輝くアイディアもある。
  • 人に伝えることを念頭に

15 企画書を書き始めるための5つの秘策

  • 衝動を感じたときがチャンス
  • 締め切りセットに上司を使う
  • 「まず10分!」で取りかかろう
  • 精度、完璧さは求めない
  • 環境の助けを借りて、クリエイティブ・モードに入り込む

16 企画の7つ道具

  • お気に入りの道具を大公開
  • デジタルツールは「シンプルさ」で選ぶ  

17 真っ白な紙に、まず一行

  • 真っ白な紙に、新しい文字を書いていく 
  • 自分の言葉で書いていこう
  • 修飾語が重なると意味がゼロに
  • 落書きでもいい、図解やイラストを加えよう

18 アイディアを結晶化し、磨く

  • 受け手目線のコンセプト──「キリンフリー」の魅力は何だ!?
  • カテゴリーになる言葉、カテゴリーを飛び越える言葉が最強
  • 1秒で伝わることをめざす 
  • 「一番搾り」「氷結」「フリー」…ネーミング必勝法
  • 企画メモを他人に見てもらう
  • 驚きのある新しさはあるか

Column「麒麟淡麗〈生〉」の命名秘話


第4章 純度を保ちながら、化学反応を起こす

チームで化学反応を起こさなければ、 100点満点以上の商品は実現できない。それを可能にする6つの技法

最終的に商品の明暗を分けるのはチームワーク。お客様が感動し、市場をつくり変えることができる100点満点以上の商品は、一人ではつくれません。チーム運営や一緒に働く人の才能の引き出し方など、人の力を借りて、想像や常識の上をいく商品をつくる方法を解説します。逆風に立ち向かった「氷結」開発時には「ある言葉」でチームをまとめあげたのです。
あるいは、せっかく「この商品や提案は、絶対おもしろい!」とひらめいたのに、「決裁をもらえるように、ここは変えてしまおう」などと考えてしまっていませんか? そうせずとも、組織の中で提案を通す秘訣をお伝えします。
さらに「スプリングバレーブルワリー」は、お客様(ファン)さえも巻き込み、化学反応を巻き起こしています。発売後も現在進行形でつくり上げている商品なのです。

19チームを企み(たくらみ)に巻き込む

  • 「夢を語ること」から始めよう 
  • チームの力で企画を伸ばし、拡げる
  • チームが迷子になってしまったら?
  • あいまいな言葉にはビジュアルの力を
  • 自分の企画を進めたいならホワイトボードは人に渡すな 

20 チームをまとめる言葉をつくる

  • 「氷結」チームをまとめたインナースローガン
  • 裏コンセプトでポジティブに企む

21 組織の壁を突破する「提案書」 

  • 企画書から提案書へ
  • コミュニケーションは、受け手が主役
  • 創造的破壊はいったんしまい込む
  • 待つことも大切、チャンスは必ず訪れる

22 最強の商品は才能のかけ算で生まれる

  • 真摯に耳を傾け、改善する
  • 災い転じて、商品は強くなる
  • 「同じ言語」を話す
  • 天才の力を120%引き出す「逆質問」
  • コンセプトとデザインを一体化させる

23 ファンさえも商品づくりに巻き込む

  • お客様との関係が変わっている
  • コミィニティづくりがカギ
  • 社内ベンチャーの意義

24 ヒットして安心しない

  • 発売はゴールではなく、スタート
  • 満足しない。次を考える